IT業界に在籍しているかどうかに関わらず、IT業界の中のどこにいるのかによってどのようなスキルが必要なのか気になっている方も多いでしょう。今後別業界からIT業界に転職するに当たってスキルを検討したい方もいれば、現在SIerなどに在籍していて、WEB業界に転職するかフリーランスになるかなどで迷われている方もいるかもしれません。
そこでこのページでは、IT業界の中のどこにいるのかに応じてどのくらいのスキルが必要なのかを解説します。ちなみに私自身はSIerに在籍していた経験と、フリーランスでSIerの現場常駐、WEB企業や個人からの案件受託などの経験があります。
WEB系の企業に直接在籍したことはないのですが、プロジェクトには参加しているのでSIerとの違いなどはわかると思います。
各業界(ポジション)に求められるスキル比較
まず最初に、わかりやすく各ポジションに求められるスキルを表にしておきます。表についての詳細な解説は後述します。また先に簡単な技術力の比較だけしておくと、以下のようになるかと思います。
フリーランス > WEB > フリーランス > SIer > フリーランス
左の方が技術力が高いという意味です。これについて詳しくは後述します。
業界(IT業界内での立場) | 求められるスキル |
SIer |
[技術力] [業務知識] [マネジメントスキル] [コミュニケーションスキル] |
WEB |
[技術力] [マネジメントスキル] [コミュニケーションスキル] |
フリーランス |
[技術力] [業務知識] [マネジメントスキル] [コミュニケーションスキル] |
もっとも勘違いされがちなポイントは、フリーランスに求められるスキル要件が高いと思われがちなことでしょう。今やどの業界でもシステムを利用していますが、必ずしも機能性の高さが求められるわけではありません。
そのため、エンジニアに対しても必ずしも高いスキルを求めているわけではないということです。技術力は高くなくても良いから、とにかく安く発注したい、という企業も多いのです。もちろん最終的には技術力を磨いて単価を上げた方が良いですが、最初のうちは勉強も兼ねて安い案件を受けていくのも一つの手です。
詳しくは後で解説しますが、たとえば数ヶ月だけプログラミングの勉強をして、すぐにフリーランスエンジニアとして仕事をもらうことも全然難しくはありません。最初のうちははっきり言ってたいして稼げませんが、実績とスキルを積み重ねれば稼げるようになっていきます。
SIerで求められるスキルについて
上の表である程度説明しましたが、もう少し掘り下げて解説します。ちなみにSIerについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
また現在SIerに在籍していて将来に不安を感じている方などは、以下の記事をご参考ください。
SIerの客先常駐はお先真っ暗?元SIerのSEが考える打開策
SIerでもある程度の技術力は求められますが、古い技術を使いまわしているケースが多いです。SIerの開発対象は金融システム、物流システム、官公庁のシステム、など大規模なものが多く、これらのシステムは頻繁にシステムの根本部分を変えることがありません。
現場で使いまわされている技術を一通りマスターすれば問題なく、現場が変わってもある程度応用が利きます。そして言語的にも古いものを使用していることが多く、たとえば私の場合最初に配属されたのはCOBOLとC言語が中心の案件で、私はCOBOLを担当していました。
それはそれで良かったのですが、最新技術からは程遠いでしょう。また在籍期間が長くなればなるほど、業務知識を身に付けて要件定義や設計に力を入れたり、マネジメント中心の業務になります。SIerは大人数で上から下に作業を流していくイメージで開発を進めていくため、上流工程になればなるほど現場で偉い人が担当するケースが多いのです。
かなりざっくり書くと以下のように作業が流れていきます
要件定義 → 基本設計 → 詳細設計 → プログラミング → テスト
特に大手SIerでキャリアを積むと、要件定義や基本設計くらいまでしか直接的に関与しなくなります。プログラミングをまったくしなくなるケースも珍しくはありません。
とはいえ最初のうちは基礎的なプログラミングスキルを身に付けることができるので、SIerに在籍する価値がないわけではありません。
WEB業界で求められるスキルについて
WEB業界は高い技術力と技術に対して学び続ける意欲が求められます。SIerはもう終わった、SIerからWEB業界に転職した方が良い、といった話をたびたび耳にしますが、実際に転職するにはそれなりの覚悟が必要でしょう。
SIerからWEB業界に転職する人は多いですが、今以上に技術の勉強をすることが求められ、特に最初のうちはプライベートな時間も犠牲にしなければならないかもしれません。少なくとも、SIerの残業や労働環境から逃れるためにWEB業界に転職することはあまりおすすめしません。
ちなみに先ほども載せましたが、SIerからの転職については以下の記事をご参照ください。
あとはWEB業界はSIerと違って技術の変化が激しいので、しばらくすると既存の技術が陳腐化します。もちろん核となる技術は普遍なのですが、少なくとも表面的なコードや言語は常に視野を広げていく必要があります。
フリーランスに求められるスキルについて
フリーランスは技術力が高ければならないと思われがちですが、それは間違いです。もちろん技術力の高いフリーランスエンジニアも多いのですが、みんながみんな高いスキルを持ち合わせているわけではありません。
なぜなら、フリーランス向け案件の幅は広いからです。技術力が高い人には高い人向けの、低い人には低い人向けの案件があります。そのため方針としても、勉強してどんどんスキルアップ、収入アップを目指すことも、逆に自分のペースでスキルアップ、仕事を進めることも可能です。
たとえば、VBAで簡単なツールを作成する、PHPで個人ブログのワードプレスをカスタマイズする、といった案件もあります。また最近私がたまたま見つけたものですが、子供にプログラミングを教えてほしい、といったクライアントが出している案件もありました。
難易度だけでなく、案件の種類もいろいろあるということです。またフリーランスの案件については大きく分けると以下の二つがあります。
- 在宅で仕事を受注する
- 外部のプロジェクトに参加する
私自身は両方とも経験がありますが、外部プロジェクトに参加するスタイルだと会社員とそれほど変わらない働き方です。SIerのプロジェクトに参加する案件が多いですが、WEB系企業に常駐する案件もあります。
転職や独立を検討するなら案件の確認から
転職やフリーランスになることを考えているのであれば、まずはどのような求人、フリーランス向け案件があるのか確認すると良いです。このページでざっくりとスキルについて紹介しましたが、具体的な言語、開発環境については求人、案件ページに掲載されています。
IT転職におすすめの転職エージェントサイト
私はSIer内で2回転職した経験があり、その際には以下のような求人サイトを利用しました。
ワークポートIT |
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マイナビエージェントIT |
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DODA |
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他にもいくつか利用しましたが、印象に残っている転職サイトは上記の通りです。とはいえ、正直なところ転職サイトはあくまでも企業と求職者をマッチングさせるためのものです。このサイトに登録したら間違いなく成功して、このサイトだと間違いなく失敗する、といったことはありません。
よほど特殊なスキルとマッチする案件を希望しない限り、だいたいの求人サイトに同じような求人が出ています。そのためいくつか登録しておいて、どんどん紹介してもらうのがおすすめです。転職なのである程度慎重に行動する必要がありますが、ターゲット選定ができたなら積極的に応募していった方が効率的でしょう。
面接慣れもしますし、自分の可能性を広げることにもなります。私自身も毎回複数の転職サイトから20~30社程度応募して、そのうち5~8社くらい内定していたと記憶しています。1社に決まれば後の選考は辞退すれば良いので、チャンスを広げた方が得です。
すべて無料でできることで、かかるお金は面接に行くための交通費くらいです。ただし働きながら面接を受けられる方は、スケジュールの調整が難しいかもしれません。私の場合は有給を取ってその日にまとめて3~4社の面接を受ける、業務がそこまで忙しくない日の定時終わりに面接を受ける、土日にも対応してくれる企業では土日に面接を受ける、などを行っていました。
またエージェントは割と夜遅く(21時~22時)くらいまで対応してくれて、日によっては24時くらいに電話で話すようなこともありました。
フリーランスにおすすめの案件サイト
私自身が普段利用しているサイトは大きく分けて二種類あり、一つはプログラミング案件に特化したサイト、もう一つはプログラミングを含め、ライティングなどの案件も受託できるサイトです。
プログラミング案件に特化したサイト
いろいろな案件を受託できるサイト
他にもいくつか登録していますが、主に利用しているものは以上の通りです。特定のサイトだけを使っているのではなく、複数のサイトに登録してそれぞれたまに見るようにして、良い案件が見つかったら受けるようにしています。
とはいえある程度実績を積めば、自分から連絡しなくても声がかかるようになります。自分のスキルアップ、実績作りも兼ねていろいろなサイトを試してみるのがおすすめです。またもちろんすべて無料です。
転職と違って、フリーランスの案件受託は失敗もプラスに働くケースが多いでしょう。割に合わない案件を受けてしまうと一時的には大変なのですが、一応は収入になり、またスキルアップ、実績、今後の案件受託の基軸にもなります。
はっきり言って悩んでいる時間がもったいないので、積極的に受けてどんどんこなしていくことをおすすめします。現場常駐はある程度クライアントとも連絡して決める必要がありますが、特に在宅案件はどんどん受けてどんどんこなせば自分の力や自信になっていきます。
ただし明らかに自分にできないものを受けてしまうと相手にも迷惑がかかるので、そこに関しては簡単なものから受けることをおすすめします。スキルにあまり自信がない方は、なるべく単価が低くて簡単そうなものを受けると良いでしょう。
残念ながら稼ぎの効率は悪いのですが自分自身の練習をしつつ一応お金がもらえます。さらにもう一つ重要なことがあって、実績(ポートフォリオ)になるということです。たとえば最初の方に受ける案件が儲からないものであっても、次に案件を受ける際の実績になるのです。
何も実績がないと高単価の案件を受けることはできませんが、スキルの高いプログラマーがやりたがらない安い案件を受けることならできます。スキルに自信のない方は、最初は儲からなくても簡単なものから受けてスキルアップ、実績作りを行っていくのがおすすめです。
これは過去の自分に対して言いたいことでもあるのですが、目先のお金よりもスキルや実績作りの方が重要です。たとえ割に合わないと感じても、悩んでいる時間があるならどんどん案件をこなした方が将来的に儲かります。
ちなみにフリーランスの案件受託等については以下の記事にまとめているので、興味のある方はご参考ください。
プログラミングの仕事を受注したい!便利なサイトや仕事獲得の流れ
小さなことから始めてみる
転職するにしてもフリーランスになるにしても、はっきり言って行動するのは面倒くさいです。現状に大きな不満がある方は面倒くさいなどと言っている場合ではないかと思いますが、現状それなりに生活できていて、漠然と将来に不安を感じているくらいの状況だと腰が重くなるのも無理はありません。
実際私も仕事を受けるのが面倒で躊躇したり、いざ受けても面倒でなかなか作業が進まなかったりすることは多々あります。そんなときは、すぐに辞めても良いからとりあえず着手してみることにしています。
とりあえずやってみるとそのまま軌道に乗っていくこともありますし、逆にすぐに面倒くさくなって中断してしまうこともあります。中断してしまった場合も再度トライすれば、継続できるかもしれません。
要するに面倒くさいと思ったら、悩んだり考え込むよりも行動した方が結果的に手っ取り早いということです。たとえば転職しようと思ったのであればとりあえずサイトに登録して求人を見てみる、フリーランスに興味があるのであればとりあえず案件をざっとでも見てみる、といったことです。
飽きてすぐに中断してしまうかもしれませんが、何もしないよりはマシで、これを繰り返していれば徐々に作業は前に進み、また軌道に乗れば一気に前に進めます。とりあえずすぐにできることから少しずつでも始めることをおすすめします。