SIerに転職したい!その前にSIerの種類って?

会議

IT業界への転職を検討しつついろいろ調べていると、「SIerなら業界未経験者でも採用されやすい」といった情報が出てくるかと思います。まずこれは間違いありません。そして具体的にどの企業を選ぶか調べてみると、「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」などのワードが出てくるはずです。

ただでさえよくわからなくて調べているのに、このようなワードが出てくると余計に混乱するでしょう。実際私自身SIerに就職して働いた経験があるのですが、就職した頃はおろか、働き始めてから数ヶ月くらいは上記の違いを理解していませんでした。

知らないと絶対に困るかと言われればそうではないのですが、今考えると知っておいた方が企業選びの際の一つの指標になります。また私はSIerで面接を担当していたこともあるのですが、志望動機の中で「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」について触れている応募者も多く、人事側からなぜその選択をしたのか尋ねることもありました。

私の場合自分が入社したときは運良くSIerの種類の話題は出ませんでしたが、たとえばその話題が出てきて、「独立系とは何でしょうか?」なんて言ったら明らかにマイナスポイントです。自分の将来の選択肢を考えるため面接でボロが出ないため、SIerの種類については把握しておいた方が良いでしょう。

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そもそもSIerとは

種類分けを理解しやすくするために、大前提となるSIerについて確認しておきます。SIerはSystem Integratorの通称で、大規模な業務用システムを一括で開発、保守、運用する企業です。

実際のところ明確な定義が存在するわけではないので、多くの企業、多くの人が集まって大きい業務用システムを作る業界、と捉えておけば問題ないかと思います。SIerのもう一つの特徴としては、多重請負が常習化しているということがあります。

詳細は割愛しますが、以下のようなイメージです。

顧客企業 → 大手SIer → 下請けSIer → 孫請けSIer

このように多重請負構造になっております。法的にグレーゾーンな部分があり、建設業界と似たような構造をしていることからIT土方と揶揄されるようなこともあります。ただしだからといってSIerに就職するメリットがないわけでありません。

スキルを身に付けることで自分の選択肢が広がるので、SIerに就職するメリットはあります。SIerに就職するメリットやその後の将来性について詳しくは以下の記事で解説しています。

IT業界への転職は可能なのか?成功のコツや将来性について

それではSIerの種類について紹介していきます。

SIerは主に3種類ある

実業家と graph.economy 画像 写真素材 - 51306734

SIerの主な種類は冒頭で触れた3種類です。改めて列挙しておくと以下のようになります。

  • メーカー系
  • ユーザー系
  • 独立系

どの種類かカテゴライズするのが難しい企業や複数の種類をまたぐような企業もあるのですが、大枠としては上記の区分になります。それでは、それぞれのSIerについて紹介していきます。ちなみにSIerの種類については知っておいた方が良いのですが、ざっくりとした理解で問題ありません。

SIerの種類について詳しくなってもあまり意味がないので、こんな違いがあるんだ、とざっくり知っておくくらいです。

各SIerの定義

それぞれのSIerのメリットやデメリットは後述しますが、まずは各SIerの概要をざっくり見ておきましょう。

メーカー系SIerとは

メーカー系SIerとは、大手コンピューターメーカーの系列企業のことです。具体的な企業名を挙げると、日立、東芝、日本IBM、NECなどが該当します。これらの企業と、その子会社も含まれます。

私はSIerで数社勤務した経験があるのですが、上で挙げた企業のどれかに在籍していました。

ユーザー系SIerとは

ユーザー系SIerとは、企業のシステム部門を独立させて作られたSIerのことです。たとえば金融機関などは大規模なシステムを持っていて、そのシステムを開発、保守、運営する会社をグループ傘下に置いています。

具体的な企業名を挙げると、野村総合研究所、みずほ情報総研、三菱総合研究所、ソフトバンクテクノロジー、伊藤忠テクノソリューションズなどが該当します。企業名からも土台となる企業は一目瞭然です。

独立系SIerとは

独立系SIerはメーカー系にもユーザー系にも属さないSIerです。自社の業務用パッケージシステムを開発している企業もあれば、メーカー系やユーザー系SIerのプロジェクトに参加している企業もあります。

どのくらいの割合で自社システムとプロジェクト参加があるかはわかりませんが、私の体感としてはプロジェクトに参加するケースが圧倒的に多いかと思います。そのため独立系SIerの多くは社内で作業している人はあまりいなくて、外部のオフィスビルなどで作業しています。

社内で作業していることがあっても、外部プロジェクトの仕事を社内に持ち帰ってやっているだけだったりします。

各SIerのメリット・デメリット

親指をキーボードのボタンのようなフィルター化イメージ 写真素材 - 12449116

各SIerの定義を見てきたところで、次にそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

メーカー系SIerのメリットとデメリット

メーカー系SIerはIT含め技術力が中心の業界なので、企業内にノウハウがストックされているというメリットがあります。また親会社が安定していれば子会社も安定する傾向にあるため、子会社でも待遇面が比較的優れています。

身に付くスキルやプロジェクトの幅としては、ユーザー系と独立系の間くらいです。これについては後述します。またプロジェクトの中で元請の立場になることが多いため、プログラミングやテストなどの下流工程だけでなく、要件定義やプロジェクトマネージャー業務といった上流工程の経験を積みやすいというメリットがあります。

幅広い視野を持って仕事を進める能力やコミュニケーション能力を磨くことができるので、将来的に独立や起業したい人にも必要なノウハウが身に付くでしょう。私自身メーカー系SIerから独立しています。

メーカー系SIerのデメリットとしては、下流工程だけに集中できない、独立系SIerに比べるとプロジェクトの幅が狭い、といったことが挙げられます。SIerのプロジェクトはメーカー系SIerが主導することが多いため、プログラミングよりもマネジメントなどの上流工程が求められるケースが多くなります。

これはその人の考え方によってメリットにもデメリットにもなります。またメーカー系SIerは安定的にプロジェクトを持っている反面、いろいろなプロジェクトに手を出すわけではありません。

いろいろなプロジェクトでスキルアップしたい人にとっては、多少デメリットになる可能性があります。とはいえ一つのプロジェクトでもスキルは十分に身に付き、また独学と合わせれば将来性は広がります。

ユーザー系SIerのメリットとデメリット

ユーザー系SIerは自社でプロジェクトを持っているため、3種類のSIerの中でもっとも一つのプロジェクトで安定的に働くことができます。メーカー系SIerはユーザー企業から依頼を受けてプロジェクトを立ち上げるため、ある程度動きは流動的です。

独立系SIerに関してはとにかくいろいろなプロジェクトに飛び込むスタンスをとっている企業が多いため、安定的な働き方とは逆です。一方で、一つのプロジェクトでノウハウを覚え、それを活かして安定的に働きたい人にはユーザー系SIerが合っているでしょう。

あえてデメリットを挙げるとするなら、多くのプロジェクトを経験できるわけではないということです。基本的に自社システムのみを扱うことになるため、銀行なら銀行のシステムばかりで、なおかつ他社の銀行のシステムではなく自社のものです。

スキルアップはもちろん可能ですが、ある程度偏ったスキルになることには注意が必要です。

独立系SIerのメリットとデメリット

独立系SIerのメリットは、いろいろなプロジェクトに飛び込むのでスキルの幅が広がる入社しやすい、といったことです。独立系SIerはメーカー系のように自社でプロジェクトを管理していることは少なく、ユーザー系のように自社内で使用するシステムを持っているわけでもありません。

つまり外部から仕事をもらってプロジェクトに参加することが多くなるため、動きとしてはかなり流動的です。だいたい数年程度は同じプロジェクトに在籍しますが、早ければ数ヶ月で移動することも珍しくはありません。

いろいろなプロジェクトに飛び込んで経験を積みたい人には合っているでしょう。そしてメーカー系、ユーザー系に比べて企業数が多いので、入社しやすいというメリットもあります。

逆に独立系SIerのデメリットとしては、安定性に欠ける、待遇面で劣る、業務が大変になる可能性が高い、といったことです。独立系SIerには大手SIerや大手ユーザーメーカーといったバックがないため、安定性や待遇面でメーカー系やユーザー系に劣ります。

またいろいろなプロジェクトに即戦力として駆り出されるため、業務的に大変な面があります。特に人手が足りないいわゆる炎上中の案件に駆り出されることが多く、そこで必要な知識を必死で勉強しながら業務をこなすことになります。

スキルアップという面では良いのですが、待遇と業務量のバランス的に考えるとデメリットが目立ちます。

結局どの種類のSIerを選べばいいの?

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各SIerの定義とメリット・デメリットを紹介してきました。イメージはつかめたかと思いますが、じゃあ結局どれを選ぶべきなのか?という疑問が出てくるかもしれません。比較項目が複数あるので一概には言えませんが、自分の状況によって選択肢を決めるのが良いでしょう。

たとえば、すでにある程度スキルがあってなおかつ将来的な独立や起業を考えているならメーカー系がおすすめです。スキルがあれば入社可能で、独立系よりも待遇が良く、ユーザー系よりも携われるプロジェクトが多いからです。

他には、なるべく楽に安定的に働きたいならユーザー系がおすすめです。プロジェクトの幅が広くないので、いろいろな案件に回されることがありません。そして大手のバックがあるので待遇も良いです。

最後に、今はプログラミングスキルがないけれどなんとか入社してスキルを磨きたい、手っ取り早く入社できる企業が良い、という方は独立系SIerに向いています。入社後一生懸命勉強する必要がありますが、未経験者でもステップアップできる可能性があります。

ただしメーカー系やユーザー系を選べるスキルや経歴があるのにあえて独立系を選ぶことはあまりおすすめしません。たしかに独立系は炎上案件に飛び込んで強引にスキルアップを図れる環境にありますが、待遇や労働環境を考えるとあえて独立系を選ぶことはないでしょう。

スキルが高くてさらにスキルアップしたいのであれば、Web系企業を狙った方が得策です。まずはSIerの種類、自分にあった種類はどれなのか、といったことを把握し、そこから企業選びを進めてください。

またSIerを含むIT業界全体の業界区分については以下の記事を参考にしてください。

IT業界って結局なに?転職の前に区分を知っておこう

またIT転職する場合転職サイトを利用するのが一般的です。転職サイトには優劣がありますが、結局は企業との仲介サービスで、ある程度優良な転職サイトであればサービス内容も紹介してくれる企業も大差ありません。

私がIT転職に活用して使いやすかった転職サイトを紹介しておきます。どのサイトもその時々で求人の内容は異なるので、いくつか登録しておいてそのときたまたま合う企業を紹介してくれたサイトから転職するのがおすすめです。

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