「プログラマーはパソコンに向かって作業すれば良いだけではない」「プログラマーにもコミュニケーションスキルが求められる」「最後に成功するのはコミュニケーションスキルのあるプログラマーだ」「いくらプログラミングスキルが高くてもコミュニケーション能力の低いプログラマーはいらない」などなど、プログラマーのコミュニケーションスキルについてはいろいろなことが言われています。
共通点は、「プログラマーであってもコミュニケーション能力は必要」といった感じでしょう。しかし、なかには「なるべく人とコミュニケーションを取りたくないからプログラマーになりたい」「営業で人と関わるのは無理だから消去法でプログラマーを選びたい」という方も多いかと思います。
この考え方については賛否両論あり、なかには「そんなことでプログラマーが勤まるか」と言う人もいるかもしれません。しかし個人的には上記の考え方は悪くないと思っています。このページでは、なぜ人付き合いが苦手、人とあまり会話したくない、といった人でもプログラマーが勤まるのか解説していきます。
コミュニケーション能力の定義は曖昧
プログラマーにはコミュニケーション能力が必要、そんなに必要ない、など見解が分かれていますが、その理由はそもそもコミュニケーション能力の定義が曖昧だからです。適当にざっくり分けても以下のような分け方はできると思います。
- 雑談か業務連絡か
- 同年代とのコミュニケーションか年代の異なる人とのコミュニケーションか
- 同性とのコミュニケーションか異性とのコミュニケーションか
- よくしゃべる人とのコミュニケーションか無口な人とのコミュニケーションか
- 体育会系の人とのコミュニケーションか文科系の人とのコミュニケーションか
- 一対一でのコミュニケーションか大勢の前での発表か
- 面白いトークか情報伝達か
挙げ出すときりがないのですが、同じ人でも見方によってコミュニケーション能力があったりなかったりするはずです。誰しもシチュエーションや相手によって、コミュニケーション能力が変わってきます。
たとえばお笑い芸人の方はコミュニケーション能力が高いとされますが、それはあくまでもテレビや営業というフィールドでの話です。仮に芸人が会社員だったとして、活躍できるかと言われれば微妙なところでしょう。
その場の面白いトークはできるかもしれませんが、深く考えて商品やサービスの魅力をきちんと伝えられるかはわかりません。もちろん芸人でそういったトークが得意な人もいるはずですが、そうでない人もいるはずです。
プログラマーは業務用のコミュニケーションができればOK
コミュニケーション能力とひとことに言っても、定義自体が曖昧で、シチュエーションや相手によって変わってくるということでした。そしてプログラマーの場合、求められているのは業務上の情報伝達能力です。
たとえば学生時代に友達を作るのが下手だった、雑談が苦手、といったことはほぼ関係ありません。両方とも得意な人もいるかもしれませんが、逆に友達作りや雑談は得意だがプログラマーに必要なコミュニケーションは苦手だ、という人も多いです。
なんとなくコミュニケーション能力が高いと聞くと明るく社交的な人をイメージしがちですが、プログラマーに関しては明るく社交的かどうかと業務上必要なコミュニケーション能力はまったくの別物です。
個人営業などは比較的明るさや社交性が影響しやすいかと思います。プログラマーは、自分の書いた設計書やソースコードを人にわかるようにきちんと説明する必要があります。他にも業務連絡などがありますが、ソースコードと同じで正確に情報伝達することが重要です。
「もともと明るく社交的に振る舞うのも苦手だけどきちんと人に説明するのも苦手だ」という人もいるかもしれません。それに関しては仕事を通して経験していけば慣れるでしょう。プログラマーにもコミュニケーション能力は必要ですがそれはあくまでも情報伝達能力で、キャラクター的な明るさや社交性はそこまで求められていない、ということです。
たとえば営業職だと無理にでもキャラクターを作って明るく振る舞ったりする必要があるかもしれませんが、プログラマーはそこまでそういった努力はそこま必要ないです。無愛想すぎるのも考え物ですが、キャラクターで売っていく職業ではありません。
業務上必要なコミュニケーション能力を業務を通して身に付けていけば良いだけなので、明るさや社交性に自信のない方でも問題ないということです。
コミュニケーションを重視しすぎて逆に馴染めない人もいる
プログラマーにはコミュニケーション能力が必要だが、雑談の能力ではない、業務上の情報伝達能力が重要だ、ということを説明してきました。
そして、もっと言えば明るく社交的なタイプの方が周囲に馴染めなくて苦労しているケースもあります。私がIT企業でSEをやっていた頃目にした事例だけでも、以下のようなことがありました。
- 他愛もない話を積極的にして迷惑がられる。
- 人と話さずに黙々と作業することに辛くなる。
- 話しかけてもスルーされる。
- 最終的に病む。
これも一人の事例ではなく、何人か見ました。もちろんどちらが悪いというわけではないのですが、性質が違いすぎると馴染みにくかったりします。プログラマーにはオタクタイプの人も多いため、そうでない方が馴染みにくいことは想像できるでしょう。結果的に普通に社交的な人の方が馴染めずに、病んでしまうようなことがありました。
もちろんこれはあくまで一例で、たまたまかもしれません。しかし私が見た事例でも複数あるので、おそらくIT業界あるあるなのでしょう。
まとめ
無理やりまとめると以下のようになります。
- プログラマーは業務用のコミュニケーションができればOK。それは仕事を通して身に付く。
状況や相手次第で必要なコミュニケーション能力は変わってくるので、プログラマーを目指すならプログラマー用のコミュニケーション能力が必要です。逆に言えば、とにかく明るく社交的に振る舞ったり、いわゆる爽やか営業マンのようなキャラクターを演出する必要性はそこまでありません。