SIerを辞めたい方へ!具体的な進路とその判断基準について

SIerを辞めたい

SIerを辞めたいと思っている方は多いと思います。私自身SIerを辞めていますし、SIer時代周りのエンジニアたちも割と辞めたがっていました。そこで自身の経験も踏まえ、「なぜSIerを辞めたいのか」「SIerを辞めてからどのような選択肢があるか」「何を選択するのが最適か」といったことを解説します。

ちなみに一応私がSIerにいた頃の経歴とその後について紹介しておくと以下のようになります。

SIerのPG、SE、PM、人事(2回転職し、3社に在籍している)

フリーランスエンジニア、ITライター

SIerを辞める段階ではWeb系の企業、社内SE、ブリッジSEなどに転職しようと考えていました。しかし意外とフリーでも案件受託できること、自由度の高い生活ができること、などに気付き、結局転職せずにフリーランスを選択しました。

ただし私のスタンスとしてはフリーランスを押しているのではなく、会社員もフリーランスも個人の自由、また一長一短だと考えています。

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SIerを辞めたい理由

私自身の経験、周囲のエンジニアの意見、ネット上の情報などを考慮すると、ほとんどの場合SIerを辞めたい理由は以下の二つに集約できるのではないかと思います。

  1. 業務や人間関係が大変(その割に待遇は良くない)
  2. スキルがマンネリ化している(自分自身の将来、業界の将来が不安)

例外的に、親の介護が必要になった、家業を継ぐことになった、などもあるかもしれません。実際どちらも目にしたことがあります。ただしこれらはあくまでも例外的なケースで、ほとんどの場合上記二つに集約できるでしょう。

さらに多くの場合、上で挙げた二つが組み合わさってSIerを辞めたくなっているのではないかと推測します。毎日残業ばかり、デスマーチもあるのに給料は安い、おまけにこれを一生懸命続けても自分が成長している感じはないし、会社がいつまで続くかもわからない、といった感じです。

SIerはITスキルの基礎を学ぶには良いところだと思いますが、ある程度経験を積むとマンネリ化し、なおかつ待遇面でのメリットや将来性はあまりないかと思います。多重請負構造やAI化などについては以下の記事でざっくり紹介しています。

SIerの客先常駐はお先真っ暗?元SIerのSEが考える打開策

SIerを辞めた後の選択肢と判断基準

SIerを辞めた後の選択肢

SIerを辞めた後の選択肢としては、以下のようなものが考えられます。

  1. Web系企業に転職する
  2. ゲーム業界に転職する
  3. 社内SEに転職する
  4. IT系の人材業界に転職する
  5. ITコンサル会社に転職する
  6. ブリッジSEに転職する
  7. まったくの別業界に転職する
  8. フリーランスに転身する

どの選択肢も有効な手段ですが、「4.IT系の人材業界に転職する」と「5.ITコンサル会社に転職する」は割とハードルが高いです。理由としては、募集の枠が狭く、競争率が高いからです。またコミュニケーション能力が高くないと選べない選択肢なので、自信のある方のみの選択肢になるかと思います。

それでは一つ一つ簡単に説明しておきます。

①Web系企業に転職する

これは王道中の王道ではないでしょうか。特に技術志向の強い方に合っている選択肢です。SIerに比べると明らかに開発のスピード、技術の入れ替わりが激しいです。SIerから転職するとスピード感に付いていくのが大変、休日も勉強しなければならない、といった話はよく耳にします。

そのため勉強する意欲のある方のみおすすめの選択肢で、逆に技術から少し離れたい方にはまったくおすすめできない選択肢です。

②ゲーム業界に転職する

これもよくある選択肢ですが、Web系企業以上に技術的に修羅の道です。私がSIerを辞めて転職活動しているときにエージェントに言われたことですが、「ゲーム業界は待遇を度外視して技術に没頭するタイプのエンジニアが集まるため、条件を気にする方だと厳しい。」ということでした。

つまり、給料が安くてもいい、休日がなくてもいい、家に帰れなくてもいい、それでもずっとゲームを作っていたい、くらいの意欲がないと厳しいということです。実際ゲーム業界のスキルレベルは高く、Web開発のレベルを上回っています。

ゲーム業界で身に付けた開発スキルはWeb系開発でも役立つので武者修行で転職するならありだと思いますが、少なくとも私なら長期的に勤務するのは避けたいです。チャレンジしたい方はぜひ。

③社内SEに転職する

これもよくある選択肢で、ワークライフバランスを重視される方におすすめの選択肢です。SIer、Web業界、ゲーム業界はエンジニアがメインの業界で、エンジニアが利益を生み出しています。

一方で、社内SEはその企業のメイン事業はたとえば「保険の販売」「物流」「金融の営業」などで、システムはあくまでもメイン事業をサポートするツールに過ぎません。間接部門と言うのですが、間接部門なので社内SEに大きな負担がかかることが少ないのです。

システムを作って売るわけではないので、厳しい納期はなくて、メイン事業を裏方で支える立場にあります。その結果デスマーチなどがないのはもちろん、残業も平均的に少な目です。社内システムを入れ替えるときなどは忙しいようですが、普段はあまり忙しくないようです。

社内システムの調整や社員のパソコンのメンテナンス業務などが中心で、本格的な開発は外部のSIerなどに委託しているケースも多いです。技術力を活かしつつも、プライベートも大切にしたい方におすすめの転職先になります。

④IT系の人材業界に転職する

最近はIT系の人材にスポットライトが当たることが多く、需要が大きいです。そこでIT系の人材業界にも人気が集まっています。ただし倍率が高く、仕事も意外とハードかつ実力主義です。特に外資系は給料が高い分大変でしょう。

多くの企業、求職者を担当することになり、夜も寝ずに資料作りしなければならないことも多いようです。メリットとしては給料が高いことと、度胸とコミュニケーション能力が付くので合コンでモテるようになったと言っていました。これはあくまでも個人の主観です。

⑤ITコンサル会社に転職する

ITコンサル会社の方とは、SIer在籍中に接点のあった方も多いかと思います。大規模プロジェクトになるとITコンサル会社がクライアントと直接取引し、その下に大手IT企業、そらにその下に複数の中小SIerが入る形態が多いです。

給料が高い分参入障壁が高く、なおかつ激務です。ITコンサルに必要なスキルについて詳しくは以下の記事で解説しています。

ITコンサルにプログラミングスキルは必要?その他必要スキルは?

⑥ブリッジSEに転職する

ブリッジSEのブリッジは橋という意味ですが、日本と海外の架け橋になるSEということです。オフショア開発(日本で必要なシステムを海外の人件費が安い国のエンジニアに委託する)は今後も進むと考えられますが、ブリッジSEは主にその管理業務を行います。

そのため国際的に活躍したい方にはおすすめの選択肢です。海外に行く場合現地法人と日本企業からの駐在という形がありますが、待遇的には駐在の方が良いです。ただし現地法人の場合確実に海外に行けるので、どうしても海外で働きたい方は現地法人を狙うのがおすすめです。

私自身現地法人の面接を受けた経験があるのですが、実はハードルは低いです。理由はシンプルで、日本を出たくない人が多いため人手不足だからです。私の当時のTOEICのスコアは650~700点程度だったと思いますがそれでも選べる企業は多く、TOEICを受けていない、英語がまったくできない方でも選べる企業は多かったです。

技術力も英語力も高くなくてもIT企業の現地法人は受けられるので、海外に行きたい方にはおすすめの選択肢です。ちなみに私は主にスカイプで「東南アジア」「インド」「シンガポール」などの現地法人を受けましたが、印象としては仕事というより生活環境が大変そうではありました。

私の場合水道水が普通に飲みたい、生魚を食べたい、快適に生活したい、といった気持ちがあったため、結局転職は辞めました。

⑦まったく別の業界に転職する

技術を離れてまったく別の業界に転職する方も多いです。技術が嫌になった、待遇が下がっても技術から離れたい、といった方におすすめの選択肢です。基本的には今までのキャリアを活かして転職した方がお得ですが、それでもまったく別の仕事がしたいという方も多いでしょう。

実際私が知っている限りでも、SIerから介護職、飲食店、メーカーの営業職、専門商社、小売り業などの転職した方がいます。学歴やキャリアのことを気にする方がいるかもしれないので一応触れておくと、高学歴の方も高卒の方もいました。

たとえば「早稲田大学→SIer→介護職」「慶応大学→SIer→飲食店」「東京大学→商社→SIer→小売り業」「高卒→SIer→専門商社」などです。個人的には、学歴やキャリアのことは気にせずに、将来のことや今のことを考えて最適な選択肢を選べば良いかと思います。

一度レールを外れたら終わりというわけでもなく、今の時代どのような経歴でもワークライフバランスを実現したり、お金を稼いだりすることはできると思います。

⑧フリーランスに転身する

フリーランスはハードルが高い、大変、といったイメージがあるかもしれません。私自身もそう思っていましたが、実はフリーランスもいろいろです。高収入やキャリアアップを目指してバリバリ働くこともできれば、自分のペースでのんびりフリーランスをやることもできます。

私自身は後者で、正直なところ転職してまた企業に在籍するのが嫌でフリーランスになりました。

「フリーランス=仕事を頑張らなければならない」「フリーランス=自由」など極端な捉え方をしている方が多いような印象を受けますが、実際はどちらも半分正解半分不正解で、人によりけりです。

また自分の能力、テンション、気分に応じてスタンスを変えることもできます。そして仕事のレベルはまちまちなので、技術力が低くても意外と受託できます。詳しくは以下の記事に書いているので、興味のある方はご確認ください。

フリーランスエンジニアの仕事内容とその探し方

転職やフリーランスの案件受託におすすめのサイト

SIerを辞めた後の進路について解説しました。SIerを辞めるかどうかは個人の自由ですが、少なくとも複数の選択肢を検討し、視野は広げておいた方が良いかと思います。SIerの業態がグレーゾーンで、今後どうなるか不透明なことは間違いないからです。

ここからは実際に転職やフリーランスを検討するに当たって、おすすめのサイトを紹介します。

転職におすすめのサイト

転職におすすめのサイトを三つ紹介します。私がSIerからSIerに転職した際に利用したサイトです。

ワークポートIT
  • 業界未経験者から高スキル保持者まで幅広く対応
  • 求人数は7,000件程度
  • サポートが厚め
  • キャリアコンサルタントのほとんどが元エンジニア
マイナビエージェントIT
  • マイナビがIT業界の転職にターゲットを絞った転職エージェントサービス
  • 独占求人、非公開求人も多い
DODA
  • 求人数が10万件以上
  • 求人が豊富なのでキャリアコンサルタントと相談しながら自分に合った案件を探せる

「WORKPORT」と「マイナビエージェントIT」に関しては、IT求人に特化した転職エージェントサイトです。そのためIT業界内でSIerから転職したい方におすすめです。「DODA」に関しては総合転職エージェントサイトです。

IT求人の数も多いですが、その他の求人もあります。そのため、IT業界、非IT業界両方に対応しています。私自身IT業界内での転職経験しかありませんが、IT業界に特化した転職サイト、総合転職サイト、両方での転職経験があります。

結局のところ転職エージェントサイト自体にそこまで大きな差はないので、複数登録しておいて、選択肢となる企業の数を増やしておくのがおすすめです。タイミングによって、どの転職エージェントサイトに自分の条件にぴったりの案件が転がっているかわからないからです。

フリーランスの案件受託におすすめのサイト

フリーランスの案件受託は大きく二つに分けられます。まず一つ目は一つのクライアントと数ヶ月から1年程度の長期契約をする方法で、もう一つは単発で短期の案件を受託する方法です。それぞれ利用するサイトが異なりますが、本格的にフリーランスとして稼働するのであればとりあえず両方試してみることをおすすめします。

転職は繰り返すと経歴的にデメリットもあるので安易なことはできませんが、フリーランスの場合仮に失敗しても次からの案件選びに活かせば良いだけで、一時的に大変なこと以外特にデメリットはありません。むしろ迷っている時間があるならどんどん仕事をしたり勉強した方がお金も入ってきますしスキルも上がります

スキルアップすればより高単価の案件を受託できるようになるので、早めにどんどんサイクルを回していけば良いですね。具体的におすすめのサイトは以下です。

ある程度長期の契約におすすめのサイト

  1. ギークスジョブ
  2. レバテックフリーランス
  3. MIDWORKS
  4. ポテパンフリーランス
  5. クラウドテック

単発での案件受託におすすめのサイト

  1. クラウドワークス
  2. ランサーズ

これらは私が実際に使用していたサイトで、今でもたまに利用します。なぜたまにかというと、こういったサイトを介して優良なクライアントと出会うと、直接契約になることが多々あるからです。

これらのサイトはあくまでもクライアントと出会うためのきっかけのようなものなので、複数登録して選択肢を増やしておくのがおすすめです。

あとフリーランスの場合確定申告が必要なので、最低限押さえておかなければなりません。以下の記事で最低限の確定申告についてまとめたので、興味のある方はご参照ください。

確定申告が面倒!フリーランスが最低限やっておきたい確定申告

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