SIerの客先常駐はお先真っ暗?元SIerのSEが考える打開策

思考回路

SIerはダメだ、将来性がない、といった指摘は各所で行われています。実際SIerは業界自体が法的にグレーゾーンで、今後淘汰されていく可能性が高いでしょう。また、客先に常駐するので居心地が悪い、などのデメリットが発生する場合も多いです。

このページでは、そんなSIerの実態や将来性、打開策などについて解説していきます。

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SIerがダメだと言われる理由

SIerがダメだという話はネット上でもテレビでもYouTubeなどでも度々目にします。そして、それらの指摘はすべてではありませんが大方は事実かと思います。具体的には以下のような指摘です。

  • 多重請負構造自体は法的にグレーゾーン
  • AI化等技術の進歩によってSIerのSEへの需要は落ち込む
  • 業務がマニュアル化されているため社員のスキルが上がりにくい
  • 高いスキルが必要ないので替えが利く
  • 待遇が悪く、替えが利く分年齢の高い社員は切られる
  • 客先常駐で単価方式なので、人が人として扱われていない

他にも指摘はあるかもしれませんが、大まかにまとめると上記のようになるかと思います。実際SIerで客先常駐していた身からすると大げさに聞こえる部分もありますが、あながち間違いでもないと思います。

上記の指摘について詳細に解説していたらきりがないのですが、簡単にざっくり説明しておきます。

多重請負について

まず多重請負構造についての法的な話は、現場で意識することはあまりないのですが、親会社、下請け会社、孫請け会社、ひ孫請け会社、といった構造になっていることは事実です。金融機関や官公庁など大規模な案件になればなるほど、このような多重請負構造になっていました。

法的にグレーゾーンなので是正すると各所で声が上がっていますが、上記の通り官公庁のシステム開発で多重請負は積極的に行われています。むしろ官公庁がシステム規模が大きい分一番多重請負なのではないかと感じたほどです。

守秘義務があるのであまり詳細には書けないのですが、私が某省庁の案件でPMをしていた際も、五次請けくらいまでの多重請負構造になっていました。三次請けくらいまでは親会社も契約に噛んでいるのですが、その下は下請け企業がさらに外部から契約して連れてきているイメージです。

それでも特に問題になることはなく、許容されていた状況です。つまり、SIerの多重請負構造が問題視されているとはいえ、すぐさま一気に是正されることはないでしょう。

AI化について

AI化が進めばSIer社員の需要が減っていくと言われていますが、これは事実かと思います。今のところまだ人海戦術的なやり方が一般的ですが、はっきり言って無駄な部分も多く、今ある技術でもフル活用すれば人員はもっと減らせるだろう、といった印象です。

数年ですぐに人員が減るとは考えにくいですが、10年単位で考えると徐々にSIer人口が減っていくことは十分にあり得るでしょう。

スキルアップしにくいという指摘について

Free Stock Photo of Programmer at the desk with programming languages Created by Jack Moreh

SIerはスキルアップしにくいという意見がありますが、これに関してはケースバイケースでしょう。まず業務がマニュアル化されているため、一つの案件では特定のスキルしか身に付きにくいことは事実です。

しかし、SIerではいろいろなプロジェクトに参加することが多いです。一つ一つのプロジェクトでの業務範囲は狭いかもしれませんが、いろいろなプロジェクトに参加することで、幅広いスキルが身に付きます。

とはいえWeb系ほど一人でシステムを完結させるわけではないので、フルスタックエンジニア(一人で何でもこなせるエンジニア)に必要なスキルをSIerの業務だけで身に付けるのは難しいという見方もできます。

この点についても重要なポイントがあって、それはすべての案件がうまくマニュアル化されているわけではない、ということです。つまり、案件によっては炎上していたり方針があやふやだったりするので、SEが手探りで技術の勉強をしながら開発を進めなければならないことも多いのです。

SIerでは技術が身に付かないと一概には言えず、プロジェクトによってまちまちでしょう。

待遇面や年齢の壁について

SIerは待遇が悪い、年齢が上がると切られる、といった声がありますが、これについては企業によります。ただし下請けになればなるほど、労働時間や大変さの割に給与が少ないことは事実です。

年齢が上がると切られるという点に関しては、ほとんどの企業ではそのようなことはないかと思います。しかし年齢が上がってもそこまで給与が上がらない、ずっとプロジェクトで開発ばかりやっている、といった状況になる可能性が高いのは事実です。

一生SIerにいても生活はできると思いますが、私の知る限り40代、50代になっても毎日朝から晩まで開発現場に缶詰め状態で、時には深夜帰り、朝帰り、といった人が多かったです。そこにやりがいを感じていれば良いのですが、個人的には年齢が上がってもSIerで働き続けるのは大変だと思います。

また客先常駐だから人間として扱われないといった意見もあるようですが、それはさすがに大げさです。ただしクライアント、親請け、下請け、といった立場ごとにある程度の壁があるのは事実で、現場での扱いも異なったりします。

たとえば親会社の人は出世頭として一目置かれて、下請けの人は「大変そうだな」という目で見られる、などはあります。人によっては見下されていると感じて気分が悪いかもしれませんが、たとえば他の業界でも大手と中小企業でなんとなく他人からの目が違ったりするので、個人的には気にするほどのことではないような気がします。

他人からの印象や扱いよりも、自分のスキルを磨いて、どうすればより良い環境で働けるか、稼げるか、といった方向で考えた方が良いはずです。

SIerは結局ダメなのか

Free Stock Photo of Fail Letters Falling Over As Symbol for Rejection Failure And Malfunct Created by Stuart Miles

SIerに関して噂されていることや、実際にSIerで働いていた立場から見た実態について簡単に説明しました。結論としてSIerがダメかどうかですが、一生働くにはあまりおすすめしないが、武者修行として働くなら良いと思う、となります。

これは私個人の意見なので絶対的なものではありませんが、SIerで働きながらスキルアップを意識して自分でも勉強していけば、Web系企業に転職したりフリーランスエンジニアとして独立することも可能です。

そして、これらは特別難しいことではありません。そもそもSIerでは技術が身に付かないと言われていますが、技術力も業務能力も高く、Web業界やフリーランスでも明らかにやっていけそうなエンジニアも多いです。

なので、SIerに在籍しているエンジニアは技術力が低い、他ではやっていけない、と一概には言えません。単にSIerに在籍していることに特に問題を感じていなかったり、その結果あえて転職や独立を意識していない、といったエンジニアも多いです。

技術力を活かす方向で行動すればもっとコストパフォーマンスの良い仕事をゲットできるのでもったいないと言えばもったいないのですが、本人が現状に満足しているのであればそれはそれで良いと思います。

SIerに在籍していてもスキルが高い理由は複数考えられますが、たとえば炎上案件に放り込まれてスキルアップせざるを得なかったもともと技術が好きで自分で勉強している、などが考えられます。

これからSIerへの転職を考えている方や、SIerから独立しようとされている方は以下の記事も参考にしていただければと思います。

未経験からSIerを目指される方へ。

SIerに転職したい!その前にSIerの種類って?

IT業界への転職は可能なのか?成功のコツや将来性について

SIerからフリーランスとして独立される方へ。

フリーランスエンジニアの仕事内容とその探し方

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