受託開発vs自社開発!複数の観点から比較します

開発

エンジニアの転職で企業を選ぶ際、受託開発の企業と自社開発の企業で迷うかもしれません。なるべく自社開発している企業を選んだ方がスキルアップに効果的とよく言われていますが、それは本当なのでしょうか。

受託開発、自社開発両方の経験があり、現在はフリーランスで活動している立場から解説します。先に結論だけ書いてしまうと、一長一短で、なおかつケースバイケースです。そのため単に自社開発か受託開発かだけでなく、それぞれのメリット、デメリットを知り、それに当てはめた上で企業を選ぶのがおすすめです。

スポンサーリンク

開発フローの比較

まず最初にそれぞれの開発フローについて解説します。

受託開発の開発フロー

受託開発は基本的にウォーターフォールモデルで、以下のような流れで開発が進みます。

要件定義 → 基本設計 → 詳細設計 → プログラミング → テスト

厳密にはプロジェクトによって異なり、また簡略化してはいますが、上記のようになります。水の流れのように上から下に流れるということで、ウォーターフォールと呼ばれるそうです。

一応このようにウォーターフォールモデルがベースにはなっていますが、実際は割と臨機応変で、プログラミング段階になって仕様変更があり、その結果プログラミングしてから設計書を直すようなことも多々あります。

自社開発の開発フロー

自社開発は基本的にアジャイルモデルで開発を進めます。アジャイルモデルはウォーターフォールモデルのように工程順に作業を進めるのではなく、プログラミングしながら設計書を直したり、随時仕様について話し合いながら開発を進めていきます。

なぜなら受託開発と違って顧客と話し合うわけではないからです。顧客の意向を汲みとる工程がないため、自分たちで臨機応変に開発を進めていくイメージです。

収益源の比較

受託開発と自社開発では収益源が大きく異なります。

受託開発の収益源

受託開発はクライアントから依頼を受けて、その依頼内容に沿ってシステム開発を進めます。そして、システムの納品と引き換えにクライアントからお金を受け取ります。開発が長期化した結果人件費等がかかりすぎて赤字化するケースもありますが、それでも基本的に納品すれば確実にお金が入る仕組みです。

自社開発の収益源

自社開発の収益源は、「広告収益」「販売収益」「課金収益」「手数料」などです。つまり、収益化も含めて考える必要があり、なおかつ確実に儲かるとは限りません

Webシステムやスマホアプリなどは儲かりそうなイメージがあるかもしれませんが、それはあくまでも成功したものだけが注目されているからです。

成功の裏では日の目を見ることがなく、赤字で終わってしまうものが数多く存在します。9割以上のシステム、アプリは赤字で終わっていると言われるほど厳しい競争です。成功している企業でも、多くの場合失敗を繰り返して、やっとヒット商品を生み出せた、といった状況がほとんどなのです。

また最後まで失敗続きで、最終的に廃業してしまうケースも多々あります。

身に付くスキルの比較

開発スキルアップ

冒頭でも少し触れましたが、特にスキルの観点では受託開発、自社開発という切り口だけで明確に切り分けることはできません。なぜなら、企業によって扱っているシステムも技術もバラバラで、なおかつその中で自分がどの役割を担当しているかによっても話が変わってくるからです。

しかしある程度の傾向はあるので、それについて解説します。

受託開発で身に付くスキル

受託開発には以下のような特徴があります。赤字がプラス面です。

  • いろいろなプロジェクトに参加できる
  • 各プロジェクトでは分業体制になっている
  • マニュアル化が進んでいる
  • クライアントの意向に沿って作業を進める

これらの特徴があるため、開発に携われるシステムの種類は多くなります。一方で、分業体制、マニュアル化が進んでいるため、一つのプロジェクト内で身に付けるスキルは浅く狭い傾向にあります。

とはいえ、自分から進んで勉強したり、プロジェクト内でいろいろな役割を担当させてもらえば、確実にスキルアップは可能です。

自社開発で身に付くスキル

自社開発には以下のような特徴があります。赤字がプラス面です。

  • 技術、サービス、両面から自分たちで考えていく
  • 一人一人の担当範囲が広い
  • 品質向上のために臨機応変に仕様変更を行う
  • ユーザーの反応を見てさらに修正する
  • システムの種類は企業の得意分野に偏りがち

自社開発は技術、サービスを一人一人が考え、なおかつ一人の担当範囲も広い傾向にあります。また臨機応変にシステムを改良していくため、プロジェクト内では広く深い技術力が身に付きます

ユーザーの反応を見られるので、サービスを考えるスキルも磨けます。ただし受託開発に比べると企業が自己完結させる必要があるため、得意分野に集中する傾向にあります。

そのため、開発分野自体は限定的になる可能性が高いでしょう。とはいえ、自分でも勉強すれば得意分野から派生させる形でスキルアップが可能です。

給料の比較

要点は以下です。

  • 受託開発は大手企業の給料が高い、逆に中小企業はそこまで高くない
  • 自社開発は儲かっている企業は給料が高い、逆に儲かっていない企業は高くない

自社開発の方が給料が高いイメージがあるかもしれませんが、どちらが高いと一概には言えません。まず受託開発メインの企業の中には大手企業も含まれており、大手企業は平均的に給料が高めです。

また自社開発メインの企業は中小、ベンチャー企業が多く、儲かっている企業もあれば、赤字の企業もあります。儲かっている企業は社員の給料も高いかもしれませんが、逆に赤字の企業に関しては労働と給料が見合わないと感じるかもしれません。

給料のことを考えるのであれば、受託開発か自社開発かではなく、企業ごとに比較した方が良いでしょう。

労働環境の比較

労働環境

要点は以下です。

  • 受託開発は納期のプレッシャーが大きい
  • 自社開発は品質向上のためのモチベーションをキープしやすい
  • 自社開発は閉鎖空間なので、ブラックでも外部の目が行き届かないことがある

労働環境についてもどちらかというと自社開発の方が恵まれているイメージがあるかもしれません。これに関しても一概には言えないのですが、平均すると自社開発の方が環境はやや良いのかな、といった印象です。

受託開発の場合納期がタイトになりがちで、その結果残業時間が増える傾向にあるからです。ただし、自社開発でも進捗状況が芳しくなく、結果的に残業が増えることは多々あります。

大きな違いとしては、受託開発の現場では「納期に間に合わせないと大変なことになる」といったモチベーションであるのに対し、自社開発の現場では「なるべく良いシステムにするためにリリースまでにできる限りのことをやっておこう」といったモチベーションであることです。

つまり受託開発ではやらされている感じが強いですが、自社開発では目標に向かって頑張っている感が強いです。仮に同じ残業時間であったにしても、この違いは大きいでしょう。

とはいえ感じ方は人それぞれで、また残業が少なく労働環境の良い受託開発の企業もあれば、逆にブラックな自社開発企業も存在します。自社開発だと外部からの目が届きにくいため、ブラックな状況でも発覚しにくいというデメリットもあるからです。

将来性の比較

要点は以下のようになります。

  • 受託開発は業界全体が問題視されており、無駄も多いことから今後淘汰される可能性が高い
  • 自社開発は競争率が高いため、需要はあるものの勝ち残る企業と廃業する企業が存在する
  • 最終的には企業によりけり

業界全体の将来性で言えば、自社開発メインの方が上でしょう。ただし個別の企業で見ると、企業によりけりです。まず受託開発はSIerと呼ばれる、客先に常駐してプロジェクトに参加している企業に多いです。

多重請負と言って、クライアントから仕事を受託した企業がさらに下請け企業に外注するような構造になっていることも多いです。この業界構造は問題視されており、また仲介料が多く発生する、間に入る企業が増えれば増えるほど意思伝達等で無駄が発生しやすい、などのデメリットも存在します。

今後受託開発そのものがなくなるとは考えにくいですが、多重請負構造は縮小すると考えられるので、受託開発メインの企業は淘汰されていくでしょう。生き残る企業と消えていく企業があると考えられます。

一方で、自社開発メインの企業は業界構造が変わって淘汰されるようなことは考えにくいです。今後もヒット商品を生み出す企業は伸び、逆にそうでない企業は廃業していきます。業界自体は縮小しなくても、自社開発はそもそもの競争率が高いです。

受託開発か自社開発かではなく企業ごとに見た方が良い

転職などを検討する場合、受託開発か自社開発かではなく、企業ごとに検討した方が良いでしょう。受託開発の企業にも自社開発の企業にも優良な企業があり、逆に言えばどちらにもブラックな企業も存在します。

結局は企業次第なので、身に付けたいスキルを考えて企業を調べることや、待遇面で比較することが重要です。ただし今回紹介した自社開発、受託開発それぞれの特性を知っておくと個々の企業を調べる際の指標にはなるので、知識としては知っておいた方が良いでしょう。

タイトルとURLをコピーしました