ITがより身近なものになっている、私たちの生活にITは欠かせない、といったことは日々耳にしているかと思います。こういった話を耳にすると、「じゃあITスキルを身に付ければどこに行っても役立つ人材になれるのではないか」「とりあえず生きていけるスキルを身に付けたいけれど世の中の流れ的にやっぱITじゃないかな」といった発想が出てくるかと思います。
実際私もこのような発想でIT業界に足を踏み入れました。周囲にはIT業界って厳しいんじゃないの?ブラックなイメージしかないけど大丈夫なの?といったことを言われた記憶もあります。
このとき私がどう思ったかというと、まあたしかにみんなの言う通りな気がするけどとりあえず直感を信じて就職してみよう、といった感じでした。そして結果的には、成功だったと思います。
強い意志がある方はもちろん、「なんとなくスキル的に役立ちそうだ」くらいでも全然問題ないと思います。私自身は就職前IT業界に対して漠然としたイメージしかないまま適当に企業を選んだのですが、できれば業界構造についてあらかじめ知っておいた方が良いでしょう。
そこでこのページでは、IT業界ってそもそも何?ということについて解説していきます。
IT業界の区分は4種類か5種類くらい
IT業界を大まかに分類すると、4種類か5種類くらいになります。適当だと思われたかもしれませんが、これには理由があります。そもそもIT業界というワード自体実は曖昧なもので、かっちりとした枠組みがあるわけではないのです。
またIT業界は変化が激しい業界でもあるため、既存の枠組みにカテゴライズするのが難しい企業も多々存在します。では業界の枠組みを知る必要がないのかというとそうではありません。すべてをきっちり押さえる必要はありませんが、たとえば企業選びや業界研究を行う際に知識があると役立ちます。
IT業界というものは曖昧である、ということも合わせて押さえておいてほしいのです。実際IT業界の区分についてネットで検索してみると、ページによって区分が異なり、信頼性の高い転職サイトなどでも説明がバラバラだったりします。
だからといってそれらのサイトが間違っているわけではありません。どれが間違いだというわけではなく、だいたい区分できていればそれでOKだということです。大前提としてこのことを知っておいて、ぜひ混乱しないようにしてください。
IT業界の区分を複数紹介
では、IT業界の区分例を以下に紹介します。まずは5つに分類した場合です。
- インターネット・Web業界
- 通信業界
- ソフトウェア業界
- ハードウェア業界
- 情報処理サービス業界
これはあくまでも一例ですが、5つに分類している場合だいたい上記のような形になるでしょう。次に、4つに分類した場合の例です。
- インターネット・Web業界
- ソフトウェア業界
- ハードウェア業界
- 情報処理サービス業界
他の例としては以下のような区分もあります。
- Webサービス業界
- ソフトウェア業界
- 通信サービス業界
- IT情報サービス業界
複数の区分の仕方があるものの、だいたいは重複していることがわかるかと思います。どの区分が正解というわけではなく、用語の意味合い的に微妙に範囲が異なるのかな、くらいの違いです。
また、ここにソーシャルゲーム業界が入ってきたりすることもあります。ソーシャルゲームもWebサービスのうちの一つではありますが、区分される場合もあるということです。それではそれぞれの業界が何を意味しているのかを解説します。
各業界の定義と範囲
各業界の定義と範囲をざっくり紹介していきますが、それぞれの用語は重複している部分も多いです。たとえば、「インターネット・Webサービス業界に含まれているしIT情報サービス業界にも含まれている」「ソフトウェア業界にもWeb業界にも含まれている」といった事業形態の企業は数多いということです。
はっきりと一つのカテゴリーに当てはまる企業もありますが、曖昧な部分も多いので、その点はご了承ください。
①インターネット・Web業界、Webサービス業界
区分の仕方によってインターネット・Web業界と言われたりWebサービス業界と呼ばれたりします。そしてこの二つがまったく同じものかというと、非常に微妙なところです。ここでは便宜的にWeb業界としておきますが、Web業界はインターネットを活用してサービス提供していれば広義には該当します。
具体的な企業名を挙げると、Google、Facebook、Amazonなどが有名でしょう。日本の企業だと何かと話題のZOZOTOWNなどもWeb業界に含むことができます。あとは上で少し触れましたが、ソーシャルゲームを開発しているような企業もWeb業界に含むことができます。
ゲーム業界にもWeb業界にも含まれる、くらいに捉えておくと良いでしょう。そしてインターネット業界という点に着目すると、GMOインターネットやNTTなどが含まれることもあります。どちらかというと通信サービス業界と言った方がわかりやすいのですが、インターネット業界に含める場合もあります。
ざっくりとですが、インターネット・Web業界、Webサービス業界と聞けば、「Webサイト」「ソーシャルゲーム」「SNS」「ECサイト」「インターネット広告業者」「場合によっては通信業者」くらいに考えておくと融通が利きます。
②通信業界、通信サービス業界
通信業界、通信サービス業界は一部インターネット業界と重複しますが、インフラの色合いが強いです。インフラと聞くとインフラエンジニアやネットワークエンジニアを連想するかもしれませんが、これらのエンジニアは通信業界に数多く在籍しています。
ただしインフラエンジニアもネットワークエンジニアもソフトウェア業界などにも在籍しているため、業界の話と職種の話を混同するとややこしくなるかもしれません。職種については業種を押さえてからリサーチしていただければと思います。
通信業界、通信サービス業界の具体的な企業としては、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIなどが有名です。職種としてインフラエンジニアやネットワークエンジニアになりたい人にとっては、ソフトウェア業界と並んで転職先候補の一つとなるでしょう。
③ソフトウェア業界
ソフトウェア業界は、OSやアプリケーションを扱っている業界です。具体的な企業としては、Microsoft、日本オラクルなどが挙げられます。業務用のシステム開発を行っているSIerやWebサービスを提供しているWeb業界がソフトウェア業界と捉えられることも多いですが、定義的には上記のようになります。
ただし転職サイトなどでもSIerやWeb業界をソフトウェア業界と記載していることが多いので、定義と実態はここでも違っているということです。
上でも説明した通り、IT業界の定義は非常に曖昧なのです。定義上は別の業界と思われるものが含まれていたりすることも多々あるので、ざっくりと業界区分を捉え、臨機応変に考えることが重要です。
ソフトウェア業界のイメージとしては、情報処理サービス業界、IT情報サービス業界よりも土台となるシステムを作っています。ソフトウェア業界が作ったソフトウェアを使って、情報処理サービス・IT情報サービス業界がシステム開発を行っているイメージです。
④ハードウェア業界
ハードウェア業界とは、パソコン、スマホ、パソコン周辺機器、といった物理的なものを開発して販売している業界です。具体的な企業としては、Apple、DELL、日立、ソニー、東芝、富士通、パナソニックなどが挙げられます。
これらの企業は普段一般消費者が製品を利用することも多いため、馴染み深いかと思います。ただし、上で挙げた企業は情報処理サービス業界、IT情報サービス業界としてシステム開発のプロジェクトも持っているケースが多いです。
企業収益の内訳詳細を明かすことはできませんが、私自身上で挙げた企業のいずれかでシステムエンジニアとして勤務していた経験があります。少なくとも、世間がイメージしているよりは自社製品ではなく受注プロジェクトの開発収益が多いかと思います。
⑤情報処理サービス業界、IT情報サービス業界
情報処理サービス業界、IT情報サービス業界は、主に業務用システムの依頼を受けて開発、保守、運用を行う業界です。SIerやSESと呼ばれる業界がこれに該当します。SIerはSystem Integrationの略で、顧客企業から依頼を受けてシステム開発を行う業界です。
SESはSystem Engineering Serviceの略で、技術者派遣サービスのことです。SIerとSESの詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
SIerとSESの違いとは?定義や実態について図でわかりやすく解説
またSIer種類やそれぞれのメリット・デメリットなどについては以下の記事を参考にしてください。
転職するならどの業界が狙い目?
以上IT業界の区分について解説してきました。このページではあえて特定の区分の仕方を用いずに、なるべく網羅的にいろいろな区分を紹介してきました。理由としては、実際に転職サイトなどを見た際に業界の枠組みを理解しつつも、サイトによって定義が異なることを念頭に置いてほしかったからです。
そして上記の中でどの業界を狙うのがおすすめかですが、その人のバックグラウンドや希望によって結論は変わってきます。ただし業界未経験者、プログラミング未経験者であれば情報処理サービス業界、IT情報サービス業界を狙うのがもっとも現実的でしょう。
ある程度スキルがあればWeb業界も狙い目です。SIerについてあまり良い印象を持っていない方も多いかと思いますが、SIerへの転職やそこからのステップアップについては以下の記事で解説しています。
このページで紹介した内容を把握しておけば、IT業界の業界分類で混乱することは減るかと思います。