書く力を磨けば話す力も高まるのか?書くと話すの関係性

日本の教育では文章を書く機会は多少あるものの、話す機会は少ないです。最近は教育も変わってきていて文章を書くことも話すことも増えているようですが、今の社会人の中には文章を書くのが苦手、話すのはもっと苦手、といった人は多いかと思います。

特にスピーチやプレゼンの度に緊張する、うまく話せない、と悩んでいる方は多いようです。私自身もともと文章を書くのも話すのもかなり苦手で、練習してそれなりになりました。

そこで、私自身の体験や他の人の意見を踏まえ、書く力と話す力の関係書く練習をすれば話すのもうまくなるのか、などについて解説します。

【この記事の要点】

  • 書くことも話すことも情報伝達手段の一つ
  • 文章を書けば頭の中で情報をまとめるのがうまくなる
  • 頭の中で情報がまとまれば話すのもうまくなる
  • 話す練習も少しは必要(会話とスピーチ&プレゼンはまったくの別物
  • 最終的には書く練習の方が情報伝達力アップに役立つ
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私自身の体験談(書く力が話す力につながった)

ひらめき

私はもともと書くこと(サイトに記事を書いたり)も話すこと(スピーチやプレゼン)も苦手でした。以前は会社員でシステムエンジニアとして働いていたのですが、報告書を提出すると、「文章がまとまっていなくてよくわからない」と言われる、プレゼンテーションをすると緊張する上に話がまとまらなくて途中でパニック状態になる、なんてことがよくありました。

フリーランスになっからは受託開発の仕事が中心だったのですが、あるときIT系のライティングの話をいただき、ライティングにもチャレンジすることにしました。最初は何もわからない状態で、ネットや本でWebライティングの基本やSEOというネット集客の知識などを学び、なんとか記事を書いている状況でした。

その後はIT以外にもいろいろなジャンルのライティングを行い、そこで顧客から渡されるライティングマニュアルや執筆後のフィードバックなどを参考にスキルアップしていきました。今でも文章を書くのがうまいというわけではありませんが、いろいろな情報をスピーディーに文章としてまとめることができるようになりました。

文章を書くのはある程度得意になったものの、スピーチやプレゼンに関しては苦手なままでした。頭の中で内容をまとめることは以前よりも得意になっていると感じていましたが、いざ話し始めると、うまく言えないのですが自分の声が思っているのと違ってパニックになる、今の話し方で合っているのか、など漠然とした不安に押しつぶされて結果的にまとまらなくなる、といった状況です。

そこで私は、自分でスマホのカメラを回しながらそこに向かってスピーチする練習をしました。最初はうまく話せず固まっていたのですが、数回やれば流暢に話せるようになりました。スピーチ自体に慣れると、人前に出てもなんとなく同じようにできるような気がしてきました。

普段私はスピーチやプレゼンをする機会が多くはないのですが、自分が練習してきたことを試したくなり、あえて機会を作るようにしました。幸い私はフリーランスなので、プレゼンをして契約を取るようなことも可能です。

結果的に、プレゼンの経験はほとんどなくて自宅でカメラに向かって練習しただけにも関わらず、自分で言うのもおかしいかもしれませんがかなりうまくいきました。褒められる機会も多いです。

なぜうまくいったのか私なりに考えたところ、ライティングの経験を積んだことで頭の中で情報を整理するのがうまくなり、それがスピーチ、プレゼンにも活かされた、と結論付けました。

ライティングの経験から話す内容自体は頭の中で整理できるようになったので、後はスピーチ、プレゼンの基本だけ少し練習したら、すんなりうまく話せるようになったのではないかと思います。

正直自分でも驚くような体験で、長年苦手だったものがすぐに人よりも得意になったと自負しています。せっかくなので共有したいと思い、「ライティングに慣れればスピーチ、プレゼンもすぐにうまくなる。」といったテーマで書いていきます。

情報伝達の流れ

表現

情報伝達の流れとして、何かを表現する前に必ず考える作業が先に来ます。インプットとアウトプットの流れで言えば、考える作業はその間です。

インプット → 考える → アウトプット

となります。

とはいえ、書くことや話すことが考えた情報を正確に表現するのに対し、歌や踊りによる表現は抽象的な場合が多いです。そのため、書くことや話すことは考えをいかにまとめるかが重要ですが、歌や踊りは表現そのものが重要になります。

表現の手段は無限にあるのでまとめるのは難しいですが、上の図の例だと、以下のようにグループ分けできるでしょう。

【考えてまとめることが重要】

  • 書く
  • 話す

【表現そのものが重要】

  • 歌う
  • 踊る

文章を書くと情報をまとめるのがうまくなる

書く

文章を書くことで、文章を書くためのノウハウが身に付きます。文章の種類によって具体的なノウハウは変わってきますが、たとえばWebライティングなら以下のようなノウハウがあります。

  • 結論を先に書く
  • 冒頭で問題提示、問題を解決するメリットなどを記載して読者の興味を引く
  • 一文が長くなりすぎないようにする
  • 見出しを目次にして、目次だけで全体の流れがわかるようにする

他にも複数のノウハウがありますが、一例を挙げると上記のようになります。文章を書くためにこれらのテクニックを駆使することは重要ですが、それ以上に書く内容や構成を頭の中でまとめることが重要です。

書き始める前に考え、また書きながら再度考えて構成を練り直すこともあります。いずれにしても、頭の中で内容をまとめることが最重要で、文章自体は頭の中のものをノウハウに則って表面化しているだけです。

日本語で文章を書く場合、日本人なら基本的な日本語力は身に付いています。なるべく簡単にわかりやすく書くのが基本なので、難しい言葉を使う必要はありません。

つまりある程度のノウハウを学んだら、後はひたすら頭の中で情報をまとめることの繰り返しと言っても過言ではないでしょう。

話すのも書くのと同じ

スピーチ

話すことと書くことはまったくの別物に思えますが、頭の中で情報をまとめる作業はほぼ同じかと思います。もちろん書く場合はより細かく正確に、話す場合は口頭でも伝わりやすいようシンプルに、など考え方の違いはあるでしょう。

しかし大枠では考える作業は同じで、文章として書けることは口頭でも話せるはずです。つまり、ライティングの練習はスピーチやプレゼンテーションにも役立ちます。とはいえライティングで考える作業に慣れていても、いざ話すとなるとうまくいかない、緊張してしまう、といったことがあるかもしれません。

それについて詳しくは後述します。また逆に、話す練習をすれば書くのもうまくなるのか、という疑問が出てくるかもしれません。スピーチやプレゼンの練習をすれば書いて文章化する能力も多少身に付くはずですが、より深く考察して情報をまとめるためには書く練習が必要です。

なぜなら、基本的に話すよりも書く場合の方がより内容が濃くなるからです。口頭で伝えられる情報には限界があるため、どうしても書く場合よりもわかりやすくシンプルになります。

話す練習も多少は必要

文章として情報をうまくまとめられるということは、スピーチやプレゼンでもその情報をうまく発信できるはずです。ではなぜ、書くのは得意だけれど話すのは苦手、という人がいるのでしょう。

その理由は、話すという手段に対して極端に不慣れだからです。つまり、この不慣れさえ解消すれば後はもともと頭の中で整理できている情報をスラスラ話せるようになります。

ここで注意しておきたいのが、会話とスピーチ&プレゼンはまったくの別物だということです。これを理解していないせいで、「普段の会話では普通に話せるのに、いざスピーチになると緊張してうまく話せない。」という的外れな考えになってしまうのです。

今、何が的外れなの?と思われた方もいるのではないでしょうか。これはたとえるなら、「普段LINEでのメッセージのやり取りはうまくできているのに、論文を書こうと思ったら緊張してうまく書けない。」と言っているのと同じです。

日常会話やLINEのメッセージをする際には、全体の流れ、構成を考えて、一人で話を完結させる必要がありません。相手との対話なので、流れで進み、なおかつあまり先のことは考えずに単発の発信で済みます。

一方で、スピーチ&プレゼン、論文は全体の流れや構成を考え、一人ですべて完結させる必要があるのです。

LINEのメッセージと論文で比べると、違うのは当たり前だろう、とみんな考えるのですが、なぜか会話とスピーチ&プレゼンの話になると混同して考える人が多いように思います。全然違うものなので、まずこの点にはご注意ください。

人前で緊張しているからスピーチ&プレゼンができないのではなく、そもそもスピーチ&プレゼンをするのに十分なスキル(ライティングスキルがあればすぐに身に付く)が足りていないのです。

スキルがあれば、たとえがちがちに緊張していてもなんとか形になり、また話が進むにつれて軌道に乗ってより話せるはずです。特に出だしだけでなくその後もうまく話せないのであれば、完全にスキル不足と考えて間違いないでしょう。緊張しているかどうかは関係ありません。

そして、スピーチ&プレゼンがうまくなるためには、多少練習する必要があります。スピーチ&プレゼンの練習だけでうまくなりたいならたくさん練習しなければならないかもしれませんが、Webライティングでも論文でも書いて情報をまとめる練習を積んでいるのであれば、スピーチ&プレゼンの練習は少なく済みます。

むしろ話すことに慣れさえすれば後は頭の中で情報をまとめて精度を上げていくような作業の方が重要なので、いっぱい話す作業よりも考える作業や書く作業の方が頭の中を整理するのに効率的でしょう。

情報伝達力を上げるなら書く練習がおすすめ

情報伝達

情報伝達力は手段に関わらず頭の中で情報をまとめ、それを相手に伝えることと定義しています。文章にしても話すことにしても、ある程度慣れれば後は頭の中で情報をいかにまとめるかが重要になります。

書くにしても話すにしても、頭の中の情報の出力結果に過ぎません。そのため考える作業が重要なのですが、最終的なゴールが話すことの場合、どうしても情報が浅くなります。なぜなら口頭で伝えられることには限界があるからです。

うまく口頭で伝えるために情報を絞り込む練習も良いのですが、それよりも文章を書いて、深く濃い情報をまとめる練習の方が情報伝達力を底上げするのに役立つと思います。

私自身一時は毎日文章を書く毎日カメラに向かってスピーチをする、ということをやっていました。最初はどちらも情報伝達力のスキルアップにつながっていると感じましたが、スピーチの方は慣れてくると何について話してもどうしても浅く表面的な話になりがちなことに気付きました。

本格的に資料を用意してプレゼンする練習をすれば情報は濃くなりますが、そこまでする気力はありませんでした。ライティングは仕事でやっているので、今も継続しています。

うまく伝えたいことがまとまらない、という方は文章を書くことを通して情報を整理する練習をするのがおすすめです。頭の中で考えるだけでも良いのですが、書いた方がきちんとまとまっているか判断しやすく、また視覚化できるので混乱せずに済みます。

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